日本の会計制度は取得原価主義により、不動産(固定資産)は、財務諸表において取得原価額で計上されてきました。
取得原価主義で評価されると、企業の財政状態を適切に反映できず、投資家にとって情報の有用性に欠けます。
一方で、時価で評価すると、未実現利益を計上することになり、未実現利益を配当可能利益として扱ってよいのか、という問題が生じます。
そこで、不動産の中で、特に投資家の投資判断に影響を与えるものを、賃貸等不動産として時価評価すると同時に、貸借対照表に時価を計上するのではなく、財務諸表の注記にとどめることにより、両者のバランスをはかっています。
賃貸等不動産の対象
・貸借対照表において投資不動産として区分されている不動産
・将来の使用が見込まれていない遊休不動産
・上記以外で賃貸されている不動産
等
また、固定資産(不動産)が取得原価で評価されると、時価がかなり下がった場合でも、決算書にはそれが反映されず投資家の投資判断を誤らせる恐れがあります。そこで、固定資産の時価が著しく下落した場合、時価で評価して損失を損益計算上認識する必要が生じます。
これら、賃貸等不動産の時価、固定資産の減損時の時価把握において、不動産の鑑定評価が有用です。